2006-01-01から1年間の記事一覧

接続の空間へのゲージ群の作用

p28の命題2.1.13。この理解(解読)に約1週間もかかってしまった。 命題2.1.13は以下のとおり: の接続形式を とする。 ゲージ群の元 に対し、の接続形式は、以下で与えられる: 記号の意味がはっきり書かれていないところが誤解する原因のようだ。 とは何ぞや…

新しい接続を作る

双対ベクトル束の場合 をベクトル束、を上の線型接続とする。このとき のファイバーをその双対空間でおきかえたものをと書いて、の双対という。 をベースに上の接続 を定義したい。 双対空間の話なので、元の空間の元を介在させないとうまく表せないので、 …

線形接続と接続形式(3)

局所枠の変換(つづき) 局所枠が、 と変換されるとき、接続形式 は へ以下のように変換される: 証明は、まず の両辺を共変微分する。左辺: 右辺: の係数を比較すればOK。 曲率形式 下のように天下りに曲率形式というものが、行列に値を持つ2次微分形式とし…

線形接続と接続形式(2)

局所枠 一般のベクトル束 の線形接続について考える。 を M の開被覆で、各上局所自明化、すなわち の同型が与えられているとする。 このとき、の自然な基底 をとることにより、 の切断 が定義できる:これを 上の局所枠といい、各点 において、局所枠はファ…

線形接続と接続形式

次に必ずしも自明でない一般のベクトル束 の線形接続について考える。 内の滑らかな曲面 上の正規直交標構 をとったとき、以下の式が成立した。ここでは各点の接平面上に取り、はそれらに直交する単位法ベクトルである。(小林昭七「曲線と曲面の微分幾何」参…

共変微分

ベクトル束Eの線形接続を利用して、E 上の切断 s と M 上の接ベクトル場 X に対し、s の X による共変微分 が次のように定義される: この記号のことをとの縮約と呼ぶらしい。は Eに値を取る1次微分形式、すなわち接ベクトルを引数として E に値を取る関数だ…

ベクトル束の接続(2)

具体的なベクトル束の線形接続の例。まず 1番簡単な例として、ランク1の自明なベクトル束の場合。自明なベクトル束とは、 のように、底空間 M と の直積で表されるようなベクトル束で、r を そのランクという。だから、ランク1の自明なベクトル束とは、 のよ…

ベクトル束の接続

第2章に入る。 接続とは、 内の 2次元曲面における共変微分を、一般化、抽象化したもののようだ。 2次元曲面上の接ベクトル場 X の共変微分は、微分 dX を接平面の方向の成分と法ベクトル方向に分解したときの 接成分であった。 一般の多様体においては「法…

第1章

第1章が出強かった。 ファイバー束、ベクトル束の定義を初めて知った。 多様体の全要素pの接空間をあわせたようなものよう。 「局所自明性」とはなんなのか、しばしなやんだ。1章最後は「複素多様体」。これははげしく六つかし。

本日より、二木昭人「微分幾何講義」(サイエンス社)を読み始める。 まず第1章 1.1 は線形代数に関するまとめ。以下メモ。 6ページ。 を n次元実ベクトル空間、 を V の双対空間とする。 このとき、 から への同型を以下で定義してやればよい: 続いてHodge s…

測地線の最短性

小林「曲線と曲面の微分幾何」第3章§6 p117 の の計算の途中に出て来る式(6.9)の式変形がよくわからなかったのでメモ。 まず式(6.9)をそのまま書くと、 1行目の等式が成り立つこと:に埋め込まれた2次元曲面の各点で定義されている接ベクトル場 の、曲面上の…

曲面の構造方程式、共変微分、測地線、測地的曲率、法曲率まで完。

曲面の古典論

もはや日記ではなく月記と化している。今月は小林昭七「曲線と曲面の微分幾何」を読み進め、本日第2章読了。 泥臭い計算ばかりやっていた一ヶ月であった。ところで奥付を見ていたら、小林昭七先生は 1932年生まれ。 1932年 = 昭和7年。だから 昭七か。

曲面の基本形式と曲率(2)

つづいて天下りに曲面 の第2基本形式II が以下のように定義される:ただし は昨日定義したとおり、接平面に垂直な法ベクトルで、第2基本形式II の意味は、 を計算することにより得られる: ここで突然 と 、および と は直交していることから、 であり、この…

曲面の基本形式と曲率

リーマン面関連の本を読んでいたが、ちょっと現時点では準備不足でまだ早そう。もっと具体的で基本的なことをやり直す必要がありそうな感じ。 ということで、読みかけていた「曲線と曲面の微分幾何」に戻ることにした。3次元空間内の曲面を2つのパラメータu,…

メモ

なかなかここに書く時間が取れなくなった。 6月中は以下の基礎的なことをやった。 微分形式 外微分作用素 ドラームコホモロジー群 完全微分方程式 ストークスの定理 ポアンカレの補題 ベクトル解析と微分形式の関係 マイヤー・ビートリス完全系列 コーシーの…

複素接ベクトル空間(2)

をリーマン面X上の点Pの属する座標近傍系とする。 を実部虚部にわけて と表す。このとき z はV上の関数である。そして、V 上の点 Qに対して を対応させる関数 はとなり、これも V 上の関数となる。 の代わりに を使うと見通しがよくなる。 と定義する。 は …

複素接ベクトル空間

X をリーマン面とし、P ∈ X とする。以下 X と P を固定する。 f を Pの近傍 V で定義された複素数値 級関数とする。 そして級関数 f とその定義域のセット を考える。このような 級関数とその定義域の対全体の集合を考え、それを という記号で表す。 の2つ…

コンパクトリーマン面上の正則写像

読んでいたテキスト、高橋「複素解析」は読み難くなってきたので別のテキストに乗り換えることにした。調べてみたところ、小木曽著「代数曲線論」(朝倉書店)の第2〜3章あたりが同じ話題をもう少し詳しく論じている感じがしたので、しばらくこちらに乗り換え…

リーマン面上の微分形式の積分

次に リーマン面 X 上の微分形式の積分を定義する。 をリーマン面 X 上の微分可能な曲線とする。 の定義区間を十分細かくして とし、各 が X の 1つの局所座標 にふくまれるようにする。 X 上の微分形式 ωの γ上の積分 を以下のように定義する。 ω = f dg と…

リーマン面上の微分形式(2)

リーマン面 X 上の正則関数 f を "微分する" ということを考え直してみる。 に対し と がaの局所座標となっているとし、に関する座標を z, に関する座標を w で表すことにする。 , とする。f を リーマン面 X 上の正則関数とする。 f を元に 上の関数 F を …

リーマン面上の微分形式

複素平面上での正則関数について成り立つ性質は、コーシーの積分定理が成立することによるものが多かった。リーマン面上でもこれは同様らしく、そうすると正則関数(あるいは有理型関数)のリーマン面上の曲線に沿った積分というものを考える必要がでてくる。 …

リーマン面上の正則/有理型写像の性質いくつか

定理5.13(p123) X,Yがリーマン面、f:X→Y が(定点写像でない)正則写像とすると、 f(a) = b となる a∈X, b∈Y に対して、 a のまわりの局所座標とbのまわりの局所座標と1以上の自然数k で以下の(1)〜(3)を満たすものが存在する。 (1) (2) (3) f はという形に局…

リーマン面上の有理型関数

リーマン面 X の開集合 U 上の関数fが有理型であるとは以下のように定義される。 U の粗な部分集合 P が存在し、 (i) f は U - P で正則。 (ii) ∀a∈P に対し P の各点を f の極と呼ぶ。これも通常の複素平面上の定義と同じように見える。

リーマン面上の正則関数(2)

リーマン面上の正則関数の定義に従うと、リーマン面 X の開集合 U 上で定義された局所座標関数は U 上の正則関数となる。 通常の複素平面の領域上の正則関数に関する多くの性質が、そのままリーマン面上の領域でも成り立つとのことで、テキストでは以下の例…

リーマン面上の正則関数

をリーマン面とする。X から Y への写像 を考える。 X の 1点 a をとり、 とし、a, b はそれぞれ座標近傍 に含まれているとする。 すると、写像 を介して、 の開集合から の開集合への写像 が定義できる。この写像は の近傍で定義されており、 に値をとる。 …

リーマン面

第5章§4「リーマン面」に入る。 テキストではこの§は 詳細に立ち入ることなく、この概念についての解説をこの節では試みる。 とあり、証明抜きでいろいろな面白そうな話題が載っているので、気楽にむずかしいところは流しながら読み進めていくことにする。リ…

リーマンの写像定理(6)

補題ばかりでなかなか本来の目的地にたどりつけないが、今後こそ最後の補題。もうすぐゴール。 補題8(p119) Dは単連結な開集合とする。 のとき、D上の正則関数の空間 上の関数 は、(前にに入れた距離による位相に関して)連続関数である。 証明は、距離空間に…

リーマンの写像定理(5)

昨日の主張を補題としてまとめると以下のようになる。この証明をフォローする。補題7(p118) Dを単連結開集合で であるとする。 ある が存在し、 に対して が成立すれば、 は D から D(0;1)への解析同型である。 が D から D(0;1)への解析同型でないと仮定す…

リーマンの写像定理(4)

とりあえずリーマンの写像定理を証明するまでは続けることにする。さて、なる0を含む単連結領域D が与えられたとき、D から単位開円板D(0;1)の中への正則写像 f で f(0) = 0 となるものを考える。このような f の全体をと書くことにする。 D から D(0;1)への…