2006-01-01から1年間の記事一覧

はじめての層係数コホモロジー(3)

昨日の続きで、 複素多様体M上の級複素直線束の全体はAbel群をなし、それは群として と同型。 上の命題の証明が目標。 整数の定数層 M上の正則関数(の芽)の層 M上の決して0をとらない正則関数(の芽)の層 の 3つの層を使って、を示すのが第一段階。これが示せ…

はじめての層係数コホモロジー(2)

下の命題の証明の続き。 複素多様体M上の級複素直線束の全体はAbel群をなし、それは群として と同型。 昨日書いたとおり、 整数の定数層 M上の正則関数(の芽)の層 M上の決して0をとらない正則関数(の芽)の層 の 3つの層を使う。 まず以下の命題を証明する。 …

複素直線束の場合 - はじめての層係数コホモロジー

階数1の複素ベクトル束、すなわち複素直線束の場合には、同値なものがどのくらいあるのか簡単にわかるという。 すなわち、M上の級複素直線束の全体はAbel群をなし、それは群として すなわちMの2次の整係数コホモロジー群と同型なのだそうだ。 その証明の第一…

同値な複素ベクトル束

多様体上の2つの複素ベクトル束 とが同値であるということを次のように定義する: 微分同相写像 で、各に対してファイバー が正則な線型写像になるようなものが存在するとき、複素ベクトル束は同値であるという。 M の一つの座標近傍をとり、 の(と同相な)フ…

複素ベクトル束

が多様体上の複素ベクトル束であるということを、大雑把に不正確にまとめてみる。 Eは局所的に (UはMの開集合)とみなせるもの。別の V に対しても局所的に とみなせるが、前者と後者のの部分の複素座標は一般に異なるものをとり、その間の「座標変換」をの元…

「微分幾何講義」再開

de Rhamコホモロジーが一通り理解できたので、2ヶ月ぶりに元に戻って「微分幾何講義」第2章 44ページから再開することにする。このテキストに 複素直線束の曲率形式はエルミート計量の取り方によらないド・ラーム類を定め、このド・ラーム類の倍は 第1チャー…

de Rhamの定理(3)

多様体の任意の(可縮な)開被覆 が与えられたとする。 この被覆から作られる k単体 に 上の微分形式を対応させる写像 で、の並べ換えに関して交代的に符号が変わるものの全体を と書く(k cochain)。これに対して2つの作用素 を下で定義することにより、らの 2…

ミステリー

アダム・ファウアー「数学的にありえない」なるミステリーを本屋で見つけ、さっそく買ってみた。昨年の東野圭吾「容疑者Xの献身」をはじめ、数学ミステリーが続くのかな。

de Rhamの定理(2)

Cechコホモロジーなるものを導入し、それがde Rhamコホモロジーと同型であることを示す方向に進む。何のために特異コホモロジーを定義したのかわからなくなった。

de Rhamの定理

多様体には 2種類の co-chain complex が定義できて、一つは de Rham complex もう一つは 特異co-chain complex 。特異chain上の積分を利用することにより、 となるそうだ。これからしばらく時間をかけてこの証明に挑む。

微分形式のC^∞特異k単体上の積分

多様体の微分k形式の、特異k単体 上の積分は以下で定義される: これを基に一般の特異kチェイン上の積分も定義される: Stokesの定義の証明途中に現れる計算に関するメモ 特異k単体に対し、 と定義した。そこで 微分(k-1)形式の積分 を計算するとき、 となる…

特異チェインの境界作用素

多様体Xの特異k単体に対する境界作用素を定義してチェイン複体を作りたい。 Xの特異kチェイン全体の集合を と表すとき、 を以下で定義する。まず特異k単体に対して、 と定義するそうだ。 ただし、は以下のように定義される。 これが意味がよくわかりにくいの…

ホモロジーおぼえがき

対 と が対応していると考えるのがコツのような気がしてきた。 例 は完全。 chain complexの短完全系列 からホモロジーの長完全系列ができる。 上でとすればで、のときだから だからある図形のホモロジーを計算するとき、その一部を一点につぶした図形と、つ…

特異チェイン

標準k単体というものが以下のように定義される:は0と1を結ぶ線分、は原点と(0,1),(1,0)を結んでできる三角形ということになる。位相空間Xに対して、 なる連続写像を特異k単体と呼ぶ。 Xが多様体で、が写像のときは 特異k単体と呼ぶ。そして特異k単体全体が…

ホモロジー群

3週間ぶりの書き込み。 読んでいた行間のとても広い微分幾何のテキストではチャーン類なるものが出てきて、まったくのチンプンカンプン状態になってしまった。それは de Rhamの理論というのを良く知らないせいのような気がしたので、まずは準備としてやさし…

完全系列

微分幾何のテキストを読み進めるのにホモロジーの知識が足りない。そのためしばらく別のやさしそうなテキストでホモロジー群の基礎を勉強中。 上が完全系列なら、i が単射で j が全射。 となって i が単射だから G から i によって H にやってきた元は j で…

テスト

正則ベクトル束の標準接続(7)

おぼえがき(1) 証明には微分2形式は一意に(2,0)型、(1,1)型、(0,2)型の和で表されることを使う。 おぼえがき(2) を正則直線束、hをそのエルミート計量としたとき、 証明には、たぶん以下を使えばよいと思われる。 より

正則ベクトル束の標準接続(6)

単に複素多様体 のエルミート計量 と言った場合、M の正則接ベクトル束 のエルミート計量のことであると約束する。 エルミート計量を持つ正則ベクトル束正則ベクトル束 には hと両立する線形接続 が一意に存在する。これを正則ベクトル束の標準接続という。…

正則ベクトル束の標準接続(5)

正則関数からなる変換関数系を一つ定めることが、複素直線束を一つ定めることなんだな。ようやく実感が湧いてきた。 が複素直線束 A の変換関数系で、 が複素直線束 B の変換関数系のとき、 は の変換関数系を定める。 だから、 の直線束 について考えてみる…

正則ベクトル束の標準接続(4)

なかなか接続の話に届かない。今しばらく準備がつづく。 複素ベクトル束のエルミート計量 複素ベクトル束 に対し、h が E のエルミート計量であるとは、M の各点 p において が正値エルミート形式であることをいう。 M の点 p を固定する。 の局所枠 をとる…

正則ベクトル束の標準接続(3)

やっと正則直線束の定義が理解できたので次に進む。 正則直線束の例(複素射影空間の超平面束) p40「例2.2.17」について。 1次元複素射影空間 の余次元1の複素部分多様体 によって先日のやり方で定まる正則直線束 を の超平面束という。と定義する。ただし右…

正則ベクトル束の標準接続(2)

正則直線束の例 p39〜40に書かれている「例2.2.16」について。 ファイバー座標の変換関数については詳しく書かれているのだが、ファイバーをどのように定義しているのか明記されてないので混乱してしまった。まず「例2.2.16」の主張そのものがなんなのかしば…

正則ベクトル束の標準接続

「2.2.2 部分多様体の幾何学」については 3次元ユークリッド空間内の曲面M の場合、ガウス曲率と断面曲率が等しい(定理2.2.14, p38)。 の証明の計算に手間取るもなんとか行間を埋め無事完了。 つづいて 「2.2.3 正則ベクトル束の標準接続」(p39〜48) に入る。…

部分多様体の幾何学(1)

リーマン多様体からその部分多様体への誘導計量。 を、部分多様体のリーマン多様体への埋め込みとする。 リーマン多様体のリーマン計量をとするとき、誘導計量と呼ばれるの計量を以下で定義する: 誘導計量をの第1基本形式ともいう。 例:3次元ユークリッド…

リーマン多様体

いつも使っているパソコンからアップができなくなってしまった。クリストッフェルの記号 第1構造方程式 曲率テンソル リッチテンソル スカラー曲率などに関する内容を読んでいろいろ計算したりしてこの1〜2週間を過ごした。リッチテンソルがリーマン計量の実…

レビ・チビタ接続

続いて 2.2.1「リーマン多様体」(p29〜35)に入る。 まずはリーマン計量、リーマン多様体の定義とその上の線形接続の一意存在について。 リーマン多様体 リーマン計量 g を持つ多様体 M をリーマン多様体という。 g は M上の 2次対称テンソルで、∀p ∈ M にお…

曲率形式・Bianchiの恒等式

曲率形式について成立する命題(昨日のやつ) の X, Y のところに を代入する。M は 級 と仮定しているので、2階微分の順序は交換可能なので であるから、よって、曲率形式とは 方向と 方向の共変微分の可換の度合を計るものと解釈できる。 共変外微分 接続(共…

TeXおためし

曲率形式

接続の曲率形式に関し、 ∵ であることと、 と に対して、 を利用すると、