リーマン面上の正則関数(2)

リーマン面上の正則関数の定義に従うと、リーマン面 X の開集合 U 上で定義された局所座標関数は U 上の正則関数となる。
通常の複素平面の領域上の正則関数に関する多くの性質が、そのままリーマン面上の領域でも成り立つとのことで、テキストでは以下の例が挙げられている。リーマン面上の領域 U は座標関数により複素平面のある領域と解析同型であることによるのだろう。

除去可能な特異点

U をリーマン面 X の開集合、a ∈ U とする。
U - {a} で正則な関数 f があり、f が a のある近傍で有界のとき、
U で正則かつ U - {a} で f と一致する関数が存在する。

同様にリーマン面上の極と真性特異点も定義されるのだろう。

補足

benjamin1971さんからのコメントでちょっと考えてみた。
 \mathbb{C}の領域D上で一点aを除き正則な関数fの場合、必ずしもa がfの定義域に含まれていない場合でも a を fの特異点としていた。
リーマン面上の関数gの場合は、上の定義において、

a ∈ U とする

という文言がある。benjamin1971さんが例として挙げられた log z に関してであるが、log z は 0 では定義されていないので、いわゆる「log z のリーマン面」は 0 を含まない。したがって

U をリーマン面 X の開集合、a ∈ U とする。

のところで、すでに 0 は 「log z のリーマン面」の元でないので、0 についてはまったく無関係の元であって考慮の外に置かれる。ということであろうか?

一致の定理

X, Y がリーマン面で、  f_1: X \to Y,  f_2: X \to Y を正則な写像とする。
X に集積点を持つ集合 A 上で  f_1, f_2 が一致すれば、X 全体で  f_1, f_2 は一致する。