リーマン面上の正則/有理型写像の性質いくつか

定理5.13(p123)

X,Yがリーマン面、f:X→Y が(定点写像でない)正則写像とすると、
f(a) = b となる a∈X, b∈Y に対して、
a のまわりの局所座標 \(U, \varphi\)とbのまわりの局所座標 \(V, \psi\)と1以上の自然数k で以下の(1)〜(3)を満たすものが存在する。
(1)  \varphi(a)=0, \psi(b)=0
(2)  f(U) \in V
(3) f は \displaystyle w = f(z) = z^{k}という形に局所座標表示できる

証明メモ:

aおよびbの近傍は単位開円板内の0を含む領域と解析同型であったので、a,bのまわりの座標近傍を適当に変えることによって aの近傍で fを座標表示したとき f(0)=0 となるようにすることができる。
fは正則写像だから、z=0の近傍でテーラー展開できて
 f(z)=a_0+a_1 z + a_2 z^2 + \cdots
と書けるが、f(0) = 0 だから  a_0=0 a_nが0にならない一番小さいnをkとすると、
 f(z) = a_k z^k + a_{k+1} z^{k+1} + \cdots = z^k\(a_k + a_{k+1} z + \cdots\) = z^k g(z)
と書けて、gはz=0の近傍で正則でg(0)≠0 であり、z=0の近傍で g(z)^{1/k}の分枝を一つとりそれをh(z)とすれば、
 f(z) = \( z h(z) \)^k
z=0の近傍で z h(z) は正則であるから、 z_1 = z h(z)となる局所座標を取り直せば、a ∈ X の近傍で、f は
 w = f(z_1) = (z_1)^k
と局所座標表示されることになる。


定理5.14(p124)

X,Yがリーマン面、f:X→Y が(定点写像でない)正則写像とする。このとき、
Xがコンパクト⇒Yもコンパクトで f(X)=Y。

証明メモ:

X上の正則写像は開写像ゆえ f(X)はYの開集合。
Xはコンパクト+fは連続。ゆえに f(X)は Yの閉集合
Yはハウスドウルフゆえ、その閉集合 f(X)はコンパクト。
リーマン面は定義より連結と仮定している。
連結な位相空間Yの開かつ閉部分集合f(X)は Yじしんに一致する。