2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

偏角の原理

留数定理の応用としての練習問題が載っている(p90,問8)。 問8 (i) とする。 aがfのm位の零点のとき、はDで有理型で、aを1位の極として持ち、 aの近傍において正則な関数gが存在して と書けて よって gはaの近傍で正則だからも正則。よって 問8 (ii) とする。…

留数定理(2)

復習 しばらく時間が立っているので忘れていることが多い。3章の内容で必要なものを復習としてメモしておく。 開集合 D 内の閉曲線 がD 内で 0 にホモロジー同値(定義): 開集合 D 内の閉曲線 がD 内でホモロジー同値(定義): がD 内で 0 にホモロジー同値。…

留数定理

f が で正則であるとする。f を a のまわりでローラン展開したものが であったとするとき、の係数を、f の孤立特異点aにおける留数と呼び、 と書く。をD内の回路とする。このときfの上での積分は留数を使って となる。 これを証明するには、f(z)のローラン展…

孤立特異点

点aを除いてaの近傍で正則な関数fに対して、点a を fの孤立特異点という。 孤立特異点には、以下の3種類があるという。 除去可能な特異点 極 真性特異点 f が で正則であるとき、f を a のまわりでローラン展開して と書けるが、n が負のベキの係数が0のとき…

「曲線と曲面の微分幾何」

微分幾何の勉強を始めることにした。テキストは小林昭七「曲線と曲面の微分幾何」にしてみた。「多様体の基礎」の後ろの方で曲線の長さの定義できる多様体の話や微分形式が出てきたが、この本では2および3次元で具体的に関連する話題が出てくるようだ。最初…

ローラン展開

しばらく休止していた高橋礼司「複素解析」を再開。 第4章§5「孤立特異点とローラン展開」から。 円環領域 で正則な関数 f を z のベキ で展開することを考える。D は複素平面上の原点を中心とする穴あきディスクの形。 なる をとって、原点を中心とし半径の…

微分形式の積分

ドラームコホモロジー群については将来別の本で勉強することにして先に進む。m次元多様体の最高次の微分形式、m次微分形式ωのM上での積分が定義できる。 細かい条件をはぶいていえば、M上のm次微分形式ωが と局所座標表示されているとき、 と定義される。右…

ドラームコホモロジー

kを一つ決めて上の系列から一部取り出してみる: ここでは同じdだがどちらのdであるか分かるように区別してみた。 前にみたように が成立している。したがって を任意にとると、だから、 である。通常 という記号を使う。 は の部分ベクトル空間となるので、…

ドラーム複体

M上の級 k次微分形式全体を という記号で表す。k=0のときは M上の級関数のこととしておく。 k次微分形式ωの外微分dωは k+1次微分形式であったので、 そこで d を の写像と思える。 k=0 のときは関数 f の微分 df を f の外微分であるとしておく。そうすると…

外微分

§20に入る。 まず微分形式ωの外微分 dω が座標系に依存した形で定義される。 M を級多様体、を M 上の k次微分形式とし、座標近傍上でを局所座標表示したものが であるとき、ωの外微分 dωは以下で定義される k+1次微分形式のこと。 これが座標系に依存しない…

微分形式の外積(2)

外積と行列式 をV上の1次形式、として、の外積を計算してみると、 となる。 微分形式の外積 多様体M上のk次微分形式とl次微分形式の外積は、 という対応として定義される。 はk+l次微分形式となる。 その他 多様体M上のk次微分形式とl次微分形式に対して を…

微分形式の外積

二つの微分形式から新しい微分形式を作る演算。 微分形式の外積の定義の前に、一般のベクトル空間上の交代形式の外積が定義される。ωを上のk次交代形式、ηをV上のl次交代形式としたとき、ωとηの外積とは V上の(k+l)次交代形式で以下のように定義され、と書く…

k次微分形式(2)

V をベクトル空間とする。そのk個の直積上の関数 が各について線型であり、さらに交代性 の性質を持っているとき、ωを V上の k次交代形式という。 ここでσは 1〜kまでの数字の置換で、k次対称群の任意の元である。 V上のk次交代形式の全体を という記号で表…

2次対称テンソル場の局所座標表示

微分形式に入る前にもう一つの話題。 多様体 M 上の 2次の対称テンソル場 ω について考える。 ω は M の各点 p に対して 上で実数値をとる 2次形式 を対応させる対応である。 M の p を含む座標近傍 をとると、 の基底として が取れるので、 と表される。上…

リーマン多様体

多様体M上のk次形式まで進んだが、微分形式に進む前に、テキストではリーマン多様体というものが考察される。 M上のk次形式で、任意の置換σにたいして を満たすものを k次対称形式という。 とくにk=2のときについて。多様体M上の2次の共変対称テンソル場ωで…