リーマンの写像定理(4)

とりあえずリーマンの写像定理を証明するまでは続けることにする。

さて、 D\neq \mathbb{C}なる0を含む単連結領域D が与えられたとき、D から単位開円板D(0;1)の中への正則写像 f で f(0) = 0 となるものを考える。このような f の全体を \cal{F}と書くことにする。


D から D(0;1)への解析同型  f_0がもし存在したとすると、 \forall f \in \cal{F} に対して
 \displaystyle |f'(0)| \le |f_0'(0)|
が成立している。すなわち |f'(0)|の最大値を与える DからD(0;1)の中への正則写像は、D から D(0;1)への解析同型である。これをまず示す。
 \forall f \in \cal{F} をとる。
 h = f\circ f_0^{-1}
により D(0;1)からD(0;1)への正則写像が定義できるが、この h は
 h(0)=0
 |h(z)| \lt 1
を満たすからシュワルツの補題を h に適用することにより、
 |h'(0)| \le 1
が成立する。したがって  f = h \circ f_0だから連鎖律を使うと以下が成立する。
 \displaystyle |f'(0)| = |(h \circ f_0)'(0)| = |h'(0)| |f_{0}'(0)| \le |f_{0}'(0)|
すなわち、 |f'(0)|の最大値を与える DからD(0;1)の中への正則写像は、D から D(0;1)への解析同型であることがわかった。


実はこれの逆が言えるそうである。
すなわち、 \forall f \in \cal{F} に対して  |f'(0)| \le |f_0'(0)| が成立する f_0 \in \cal{F} がもし存在すれば、この  f_0 が D から D(0;1) への解析同型を与える。これが証明できるとリーマンの写像定理の証明にぐっと近づくことができる。