リーマンの写像定理(5)

昨日の主張を補題としてまとめると以下のようになる。この証明をフォローする。

補題7(p118)

Dを単連結開集合で  D \neq \mathbb{C},  0 \in D であるとする。
ある  f_0 \in \cal{F} が存在し、 \forall f \in \cal{F} に対して
 \displaystyle |f'(0)| \le |f_0'(0)|
が成立すれば、  f_0 は D から D(0;1)への解析同型である。

  f_0:D \to D(0;1) が D から D(0;1)への解析同型でないと仮定すると、
 \alpha \in D(0;1)
 \alpha \notin f_0(D)
となる  \alpha \neq 0 が存在する。
このαを利用して、|f'(0)| よりも |g'(0)| が大きい  \cal{F}の元 g を構成できることを示せば仮定に矛盾し、  f_0:D \to D(0;1) が D から D(0;1)への解析同型であることが証明できたことになる。
そのような g は以下のように作ればよいそうだ。
まず、
 \displaystyle f_1(z) = \frac{f_0(z)-\alpha}{\bar{\alpha}f_0(z) - 1}
とおく。
面倒な計算により*1  |f_1(z)| \lt 1 f_1(z) \neq 0 (z\in D) を示すことができる。これより第3章定理3.6を使うと、D で正則なf_1平方根の分枝 f_2が存在する:
 \displaystyle f_2(z)^2 = f_1(z)   (z\in D)
そして
 \beta = f_2(0)
とおいて、このβを使って
 \displaystyle g(z) = \frac{f_2(z)-\beta}{\bar{\beta}f_2(z)-1}
とおけば所望の  g \in \cal{F} が得られる。


このあとは再びやや面倒だが一本道の計算を続ければ証明完了に至る。

*1:テキストでは「簡単な計算により」