2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

単位円板D(0;1)の自己同型群(3)

上半平面の自己同型群Aut(P)を求めるところからやり直し。 ひっかかっていたところをていねいに見直してみる。まず (はリーマン球面)である。そして前にやったようには1次分数変換全体であった。 このことから P の解析的自己同型も1次分数変換に限られる(す…

単位円板D(0;1)の自己同型群(つづき)

まだしばらくかかりそう。 上半平面Pの自己同型群を利用して、単位円板 D(0;1)の自己同型群を求めるという手順らしい。 記号の整理と自己同型群を求めるまでのあらすじをまとめておく。 記号 上半平面 単位円板 上半平面から単位円板への解析的同型写像(Cayl…

単位円板D(0;1)の自己同型群

次は単位円板D(0;1)。 この自己同型群を求めるのは少し道中が長い。 まずは演習問題(p115問1)の形で補題が与えられているので、これを解く。 問1は一つにまとまっているが内容的には3つに分かれるので(1)〜(3)としておく。 問1(1) 1次分数変換 は実数軸 を …

リーマン球の自己同型群

つぎにリーマン球の自己同型群を計算してみる。のとき という対応はからへの写像となる。これを1次分数変換(または略して1次変換)という。上の1次分数変換全体の集合をGとする。 実は が成り立つという。これは、G がに推移的に作用することと、の元∞を固定…

複素平面Cの自己同型群

はじめにの複素解析的自己同型群を求める。求めようとして、まだ解析関数のことをよく理解していないことに気づいたので復習しながらトライしてみる。 の自己同型fは全平面で正則だから、とくに0において収束半径∞のテイラー級数に展開できる。 この級数展開…

(複素解析的)同型

平面上の開集合D,D'に対して、DからD'への1:1両連続な写像(位相同型)fで、f がDで正則、がD'で正則なものを DからD'への(複素解析的)同型という。逆写像定理より、f'(a)≠0 となる a∈Dの近傍Uでfは1:1両連続となり、も正則となった。これを使うと、連結な開集…

逆写像定理

続いて§2「写像としての正則関数」(p109〜116)に入る。この§ではD上の正則関数をDからf(D)への写像としてみたときの性質が調べられるようでおもしろそうだ。 最初は逆写像定理。可微分多様体における級写像の逆関数定理と感じが似ている。 領域Dで定義された…

モンテルの定理

第5章§1「正則関数列の収束」が何とか最後までたどりついた。新しい概念が多かったので整理しながらもう一度復習してみる。D上の正則関数の集合をと書く。この§の目的は以下のモンテルの定理の証明であったようだ。(後の§で使われる) モンテルの定理 の任意…

C(D)に距離を入れる(3)

id:kame_math:20060411 で定義した距離dは次の性質を持つ。定理5.3(p104) の点列に対して、次の2つは同値 はDで に広義一様収束する。 定理5.4(p105) は距離dに関して完備。 証明の論理を追うこと自体は容易。 距離dに関する収束が Dにおける広義一様収束と…

C(D)に距離を入れる(2)

複素平面上の開集合に対して を満たすコンパクト集合の列が存在する。 具体的には、 とおく。こうするとnが大きくなるにつれ、原点中心半径nの円の中にDが徐々にとりこまれ、内側はDの境界から1/nほどの距離のかたまりがとなって、(2)が成立することがわかる…

C(D),H(D)に距離を入れる

次に7ページにわたり、複素平面上の開集合D上の連続関数の空間と正則関数の空間に距離を定義して、距離空間としての性質をいろいろ調べる。 けっこう長い。DがコンパクトのときはD上で連続関数は有界であるから で距離を定義できるが、Dが開集合のときはうま…

正則関数列(2)

Hurwitzの定理 定理5.2(Hurwitz. p102) 連結開集合D上の正則関数列が Dでf(恒等的には0でないとする)に広義一様収束し、各は Dに零点をもたないとする。 このとき、fはDに零点を持たない。 偏角の原理の応用。 fがa∈D を零点として持ったとすると、fは恒等的…

ルーシェの定理

偏角の原理の応用としての演習問題としてルーシェの定理が載っている。 問10 f,g は閉円板 を含むある開集合で正則。 とする(γは中心a、半径ρの円周)。 円周γ上で ならばにおける f+g の零点の数と f の零点の数は等しい。 これを利用すると、n次方程式はn個…

正則関数列

第5章「等角写像としての正則関数」に入る。 記号で領域D上の正則関数全体の集合を表す。これは上の多元環(ベクトル空間でさらに乗法を持ち、乗法に関して結合法則、加法と乗法の間の分配法則が成り立つ)をなす。 定理5.1(p102) の関数列がDで広義一様収束す…