2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

リーマン面上の微分形式(2)

リーマン面 X 上の正則関数 f を "微分する" ということを考え直してみる。 に対し と がaの局所座標となっているとし、に関する座標を z, に関する座標を w で表すことにする。 , とする。f を リーマン面 X 上の正則関数とする。 f を元に 上の関数 F を …

リーマン面上の微分形式

複素平面上での正則関数について成り立つ性質は、コーシーの積分定理が成立することによるものが多かった。リーマン面上でもこれは同様らしく、そうすると正則関数(あるいは有理型関数)のリーマン面上の曲線に沿った積分というものを考える必要がでてくる。 …

リーマン面上の正則/有理型写像の性質いくつか

定理5.13(p123) X,Yがリーマン面、f:X→Y が(定点写像でない)正則写像とすると、 f(a) = b となる a∈X, b∈Y に対して、 a のまわりの局所座標とbのまわりの局所座標と1以上の自然数k で以下の(1)〜(3)を満たすものが存在する。 (1) (2) (3) f はという形に局…

リーマン面上の有理型関数

リーマン面 X の開集合 U 上の関数fが有理型であるとは以下のように定義される。 U の粗な部分集合 P が存在し、 (i) f は U - P で正則。 (ii) ∀a∈P に対し P の各点を f の極と呼ぶ。これも通常の複素平面上の定義と同じように見える。

リーマン面上の正則関数(2)

リーマン面上の正則関数の定義に従うと、リーマン面 X の開集合 U 上で定義された局所座標関数は U 上の正則関数となる。 通常の複素平面の領域上の正則関数に関する多くの性質が、そのままリーマン面上の領域でも成り立つとのことで、テキストでは以下の例…

リーマン面上の正則関数

をリーマン面とする。X から Y への写像 を考える。 X の 1点 a をとり、 とし、a, b はそれぞれ座標近傍 に含まれているとする。 すると、写像 を介して、 の開集合から の開集合への写像 が定義できる。この写像は の近傍で定義されており、 に値をとる。 …

リーマン面

第5章§4「リーマン面」に入る。 テキストではこの§は 詳細に立ち入ることなく、この概念についての解説をこの節では試みる。 とあり、証明抜きでいろいろな面白そうな話題が載っているので、気楽にむずかしいところは流しながら読み進めていくことにする。リ…

リーマンの写像定理(6)

補題ばかりでなかなか本来の目的地にたどりつけないが、今後こそ最後の補題。もうすぐゴール。 補題8(p119) Dは単連結な開集合とする。 のとき、D上の正則関数の空間 上の関数 は、(前にに入れた距離による位相に関して)連続関数である。 証明は、距離空間に…

リーマンの写像定理(5)

昨日の主張を補題としてまとめると以下のようになる。この証明をフォローする。補題7(p118) Dを単連結開集合で であるとする。 ある が存在し、 に対して が成立すれば、 は D から D(0;1)への解析同型である。 が D から D(0;1)への解析同型でないと仮定す…

リーマンの写像定理(4)

とりあえずリーマンの写像定理を証明するまでは続けることにする。さて、なる0を含む単連結領域D が与えられたとき、D から単位開円板D(0;1)の中への正則写像 f で f(0) = 0 となるものを考える。このような f の全体をと書くことにする。 D から D(0;1)への…

リーマンの写像定理(3)

D を単連結な開集合で、とする。補題6(p117) D からある有界な単連結領域への同型が存在する。 Dに含まれない複素数 a をとり関数を考える。 この関数 f は D で零点を持たないから、前にやった定理3.6(a⇒f)を使うと、なるDで正則な関数 g が存在することが…

リーマンの写像定理(2)

問3(p116) 単位円板 B の自己同型で、Bの1点 a にたいして、条件 および を満たすものが唯1つ存在することを証明せよ。 まずこの問題を解いてみる。 は Bの点aを0に写す自己同型であり、 より であるから、少なくとも一つは条件を満たすBの自己同型は存在す…

リーマンの写像定理

次にテキスト(高橋礼司「複素解析」)第5章§3「リーマンの写像定理」(p116〜)に入る。またてこずりそうだ。 §3に入る前に、§2の最後に次の問題がある。問3(p116) 単位円板 B の自己同型で、D *1の1点 a にたいして、条件 および を満たすものが唯1つ存在する…

単位円板D(0;1)の自己同型群(5)

昨日は 上半平面 P の自己同型群 Aut(P)をようやく求めることができたが、最終目標は 単位円板 B = D(0;1) の自己同型群 Aut(B) を求めることなので、もう少し苦労が必要。 さんざんやっているように、Cayley変換 f を介して、Aut(P) と Aut(B) が同型である…

単位円板D(0;1)の自己同型群(4)

今度こそ上半平面Pの自己同型群を求める。 テキストは発見的にAut(P)を見つけたのではなく、天下りに が与えられ、G = Aut(P)を確かめるという手順で進んでいるようだ。 G ⊂ Aut(P) は簡単に確かめられるが、逆を示すのがめんどう。これは G が P に推移的に…