リーマン面上の微分形式の積分


次に リーマン面 X 上の微分形式の積分を定義する。
 \gamma: [0,1] \to Xリーマン面 X 上の微分可能な曲線とする。
 \gammaの定義区間を十分細かくして  0 = t_0 \lt t_1 \lt \cdots \lt t_n = 1 とし、各  \gamma([t_{i-1},t_i]) が X の 1つの局所座標  (U_i, \varphi_i) にふくまれるようにする。
X 上の微分形式 ωの γ上の積分  \int_{\gamma} \omegaを以下のように定義する。
ω = f dg とし、f,g の各局所座標  (U_i, \varphi_i) 上での座標表示を  F_i(z_i), G_i(z_i) とする。

 \displaystyle \int_{\gamma} \omega = \sum_{i=1}^{n} \int_{\gamma_i} F_i(z_i) G'_i(z_i) dz_i


明らかなのかどうかはわからぬが、リーマン面 X 上で成り立つ定理が証明なしでいろいろな結果が述べられているのでまとめておく。基本的には局所的に \mathbb{C} の領域で成立することから証明されるのであろう。

定理5.15

X ⊃ U, a ∈ U。U は X の開集合で、微分形式 ω は U - {a} で正則とする。
(ω = f dg で、f,g が U - {a} で正則なとき、微分形式 ω は正則であるという)
γを a のまわりを正の向きに 1回まわる U 内の回路とすると、
 \displaystyle \int_{\gamma} \omega = 2 \pi i Res(\omega; a)

定理5.16

リーマン面 X 上の微分形式 ω が X の開集合 U 上で正則なら、
U 内でホモトピー同値な 2つの回路  \gamma_0, \gamma_1 に対し
 \displaystyle \int_{\gamma_0} \omega = \int_{\gamma_1} \omega

定理5.17(留数定理)

 \displaystyle \int_{\gamma} \omega = 2 \pi i \sum_{p=1}^{n} Res(\omega; a_p)