2007-01-01から1年間の記事一覧

リーマン球面の種数

第6章「コンパクトリーマン面の種数とリーマン-ロッホの定理」に入る。コンパクトリーマン面に対して、の次元をの種数といい、 あるいは などと表す。 の次元は無限次元でないことがこの後示され、それゆえコンパクトリーマン面の種数は正または0 の整数とな…

5章読了

一応読了。層係数コホモロジーの一般論については、道具として使えるようになることがまずは大事らしいので、その観点からして無視してもよさそうなところは飛ばしてみた。 そういうことよりも、Doulbaultの補題の証明とか泥臭いところの方が萌える。

因子、層の短完全系列

インフルエンザでダウンしてからしばらくお休みしていたがやっと復活。この間、p121§5.5まで読了した。位相空間上の層と準同型の系列 (列1) があったとき、任意のに関してが完全列となるとき、上の(列1)を層の完全系列という。の形の系列を、層の短完全系列…

因子に付随する層

少しずつ具体的な話になってくる。 リーマン面上の因子が一つ与えられたとする。このとき、以下のような層が定まる:は上の有理型関数の層の切断の部分空間である。は因子を と表したとき、 で定義される。因子に対する不等号の意味であるが、上のDについて…

因子(2)

リーマン面の各点に対して整数が与えられているとする。これを使って以下のような形式的な和を作る。 とおく。 このがの離散部分集合であるとき、をの因子という。 をリーマン面上の有理型関数とするとき、各に対しに関するその位数が定まった。これはが零点…

層化

前層の層化でつまづく。むずかしい。 前層であって層の条件 S1(一致の原理)とS2(貼り合わせの原理)の両方を必ずしも満たさないようながあったとき、各点におけるストークからその元(芽)をかき集めてくることにより層を作ることができる。この層をと書くそう…

因子

§5.1「層」読了。この節は一般論が中心であった。 §5.2「因子に付随する層」から、リーマン面を調べるために使う具体的な層が出てきそう。最初にある性質を満たす有理型関数の層として「因子に付随する層」なるものが登場する。

摩天楼層(2)

摩天楼層のもう一つの例。 をリーマン面とし を上の異なる点とし、それぞれの点に正整数が付随しているとする。 は上のある関数の零点や極を想定しているらしい。各の近傍の局所座標をとして、上の開集合に対し、を対応させるような を考える。 制限写像につ…

正則関数の層と収束ベキ級数環

リーマン面上の正則関数のなす代数の層をとすると、任意のについて、が成立。正則関数と解析関数は同じだから。

命題いくつか

演習問題の形で下のようにいくつかの命題が挙げられている。これらを解くとだんだん層が感覚的につかめるようになってきた感じがする。 層の同型とストークの同型 位相空間上の層 と層の準同型 に対して、 が同型写像 ⇔ が同型写像 層となるための条件の一つ…

摩天楼層

をリーマン面とし とする。の開集合 に対してとし、に対してで制限写像を定義すると、 は層になる。この層を という記号で表す。定義にしたがって のストークを求めるととなる。このとき層のサポートを で定義すると、 となる。このようにサポートが有限であ…

位相空間上の前層がさらに次の2つを満たすとき、は層であると定義される。 をの開集合、 をの開被覆とする。このような任意の に対し以下の(S1)(S2)を満たすようなを上の層と呼ぶ。 (S1) を満たす は 0のみ。 (S2) 各からを取り出した族 がに対して を満たし…

リーマン面上の層の例

をリーマン面とし、 をの開集合として、 はの開集合全体を動くとする。 このとき以下はすべて層となる。ただし制限写像は関数の自然な制限で定義する。 U上の正則関数 U上の有理型関数 U上の正則1形式 U上の級 n形式 U上の級 (p,q)形式 U上の複素数値局所定…

前層の間の準同型

が線形空間だとし、制限写像を線形写像と考えていたが、各が線形空間以外の代数構造を持つ場合を考えることもある。その代数構造が代数ならを代数の前層といい、制限写像を代数の準同型写像であるものと考える。今読んでいるテキストでは 線形空間の前層を単…

前層のストーク

を位相空間上の前層とする。 の点の近傍全体をとする。 を考える。 点の開近傍上の正則関数全体の空間などをイメージすると理解しやすそうである。 毎にその上の正則関数は無数にあるから、これはとてもでかい空間である。この空間に以下のように同値関係を…

コンパクトリーマン面の位相分類定理(2)

昨日の記号を使う。三角形分割可能な連結コンパクト向き付け可能な曲面は、いずれかの(は0以上の整数)と同相。 これはトポロジーの定理でここでは結果のみ利用する。コンパクトリーマン面は三角形分割可能だそうで、これは将来第6章で証明される予定とのこと…

4章読了

以上で第4章「いろいろなリーマン面」を読了。もっと早く進むつもりであったが、4章だけで40日ほどかかってしまった。 第5章「層と層係数コホモロジー群」に進む。

前層

第5章に入る。 リーマン面の領域上の正則関数全体の集合は、関数の自然な加法と複素数倍によって線形空間とみなせる。領域を決めるとそれに付随してその上の正則関数の集合が定まるが、これを抽象化して、一般の位相空間上の前層なるものを定義する。 を位相…

§4.2-4.5のまとめ

「いろいろなリーマン面」ということで §4.2-4.5において 1次元複素トーラス 既約多項式の定義する非特異アフィン曲線の連結成分 超楕円曲線 非特異射影曲線 などの具体例を見てきた。理解不足の点も多いが先に進もう。

コンパクトリーマン面の位相分類定理

任意のコンパクトリーマン面はいずれかの(は0以上の整数)と同相であることが述べられている。 : 2次元球面 :トーラスの表面 :穴の2個開いたトーラスの表面 : :穴の個開いたトーラスの表面 このテキストではトポロジーの基礎は既知としており証明なし。上を事…

射影曲線(2)

同次座標⇔非同次座標の変換とか、慣れないと混乱して計算途中でわけ判らなくなることしばしば。 の元は という形に表される。 のときは となり、この形の元は と1:1に対応していた。のときも同様であって、 とおくと はそれぞれと同相になり と は 3枚の座標…

射影曲線

§4.3「アフィン平面曲線」§4.4「超楕円曲線」と一応読み終えて§4.5「射影平面代数曲線」に入る。 §4.4で見たようにアフィン曲線に無限遠曲線を付加して超楕円曲線というコンパクトリーマン面を得ることができた。 これをもう少し一般化すると、§4.5「射影平…

超楕円曲線(2)

を相異なる2g+2個の 0でない複素数とし、 で定義される内の曲線を考えている。 アフィン曲線上の点の座標を対応させる射影によって なる2重被覆写像が定義できた。 このとき は連結だそうで、それゆえはリーマン面となる。 が連結となる理由は、の任意の2点…

アフィン曲線(3)

既約多項式で定義されたアフィン曲線の点について、次の(1)(2)は同値だそうである。 (1) を中心とする2次元開円板 があって、がの閉部分多様体。 (2) は非特異点である。 (1)⇒(2)の証明の途中で、1変数正則関数の零点の位数の連続性について出てきたのでメモ…

超楕円曲線

理解不足な点はあるが先に進むことにして、§4.4「超楕円曲線」に入る。 §4.3 の例題で、 で定義されるアフィン曲線が非特異であるための必要十分条件は、の多項式が重複因子を持たないことであることを確認した。これを利用すると(xとyが入れ替わっているが)…

アフィン曲線(2)

§4.3「アフィン平面代数曲線」読了。 この§の主題は、既約多項式で定義されたアフィン曲線が特異点を持たなければ、局所的にある2次元複素開円板の閉部分多様体となり、従ってリーマン面とみなせるというところにあるのだろうか。 この§では難しいところがい…

複素トーラスとP^2内のある3次曲線

は の正則写像で、 の 4点を分岐点として持つ。 はで広義一様収束するからこれを項別微分できて、 となる。 の の近傍におけるローラン展開を用いて、面倒な計算を行うことによりという微分方程式が成立することがわかる。ここで は以下のように定義される:…

アフィン平面代数曲線

§4.3「アフィン平面代数曲線」に入る。 ちょっと先を覗き見してみると多項式環だのガロア拡大だの難しそうな用語が並んでて心配。

ワイエルシュトラスのペー関数(3)

関数の の部分の収束に関するメモ。テキストp78中ほどに、に対し、のとき、 とある。不等式がなぜ成立するか悩んだので行間を埋めておく。

P^1の2重被覆写像としてのペー関数

は上を周期とする2重周期関数であり、1次元複素トーラス上の有理型関数とみなせる。これをというコンパクトリーマン面からコンパクトリーマン面への正則写像とみなすことができる。 はにのみ2位の極を持つので、であって、は被覆次数2 の正則写像となる。