コンパクトリーマン面の位相分類定理

任意のコンパクトリーマン面Xはいずれかの \Sigma_{\pi}(\piは0以上の整数)と同相であることが述べられている。
 \Sigma_{0}: 2次元球面
 \Sigma_{1}:トーラスの表面
 \Sigma_{2}:穴の2個開いたトーラスの表面
:
 \Sigma_{\pi}:穴の \pi個開いたトーラスの表面
このテキストではトポロジーの基礎は既知としており証明なし。

上を事実として認めることにより、§4.4で定義された超楕円曲線
 \displaystyle C_{2g+2} := \( y^2 = (x-a_1)\cdots(x-a_{2g+2})\)
 \Sigma_{2g+2} と同相であることが示せるようである。これを示すことが問題4.20 となっている。
 C_{2g+2}オイラー数が  2-2gであることを

という事実に着目して示せるそうである。どうやって示せるのか、しばらく考えてみることにする。

ちゃんと理解すると回り道になってしまいそうなので、とりあえず直観的な理解ですましてしまうことにしたい。
ちょっと考えてみたら、次のような理解でつじつまが合いそうだが、どうだろうか。


まず  g=0の場合を考えてみる。このときは  2g+2=2 となって
 \displaystyle C_{2} := \( y^2 = (x-a_1)(x-a_{2})\)
という超楕円曲線を考えることになる。
 \pi: C_{2} \to \mathbb{P}^1 a_1,a_2の2点を分岐点とする2重被覆写像である。
そこで  \pi^{-1}\(\mathbb{P}^1\) = A \cup B C_{2}=\pi^{-1}\(\mathbb{P}^1\)は分割されA,Bそれぞれは \mathbb{P}^1と同相であるようにできる。 \mathbb{P}^1オイラー数は2 ということから、A,Bオイラー数もそれぞれ 2。
ここで  \pi: C_{2} \to \mathbb{P}^1の分岐点は異なる2点 a_1,a_2であるから、A,Bの共通部は a_1,a_2の2点のみ。したがって A Bそれぞれを3角形分割したとき、それらは 2点のみで交わる。すなわち3角形の頂点2つだけを共有する。
そこで、A \cup Bオイラー数は、Aオイラー数とBオイラー数の和から重複する頂点2つ分の 2を引いた値となる。
A \cup B \simeq C_{2} だから  C_{2}オイラー数は、 2 + 2 - 2 = 2
以下、 g =1,2,\cdots と増えた場合も同じように考えて、今度は分岐点は異なる(2g+2)点 a_1,\cdots,a_{2g+2}であることから、 C_{2g+2}オイラー数は
 2 + 2 - (2g+2) = 2-2g
になるのだろう。