因子(2)

リーマン面Xの各点Pに対して整数n_Pが与えられているとする。これを使って以下のような形式的な和を作る。

 \displaystyle D = \sum_{P \in X} n_P P

 \displaystyle Supp D := \{P \in X \| n_P \neq 0\}
とおく。
この Supp D Xの離散部分集合であるとき、DXの因子という。


 fリーマン面X上の有理型関数とするとき、各P\in Xに対しfに関するその位数 ord_P(f)が定まった。これはPが零点ならその零点としての位数、極なら極としての位数にマイナスをつけたもの、零点でも極でもなければ0として決まった。これを利用して、Xの開集合U上の因子の例として、

 \displaystyle div(f) := \sum_{P \in U} ord_P(f) P

が定まる。これが有理型関数fの定める因子。