因子に付随する層

少しずつ具体的な話になってくる。
リーマン面X上の因子Dが一つ与えられたとする。このとき、以下のような層 \cal{F}が定まる:

 \displaystyle \cal{F}(U) := \{f \in \cal{M}_X(U) \| div(f)+D|_{U} \ge 0 \}

 \cal{F}(U)U上の有理型関数の層\cal{M}_Xの切断\cal{M}_X(U)の部分空間である。 D|_{U}は因子D
 \displaystyle D = \sum_{P\in X} n_P P
と表したとき、
 \displaystyle D|_{U} := \sum_{P\in U} n_P P
で定義される。因子に対する不等号の意味であるが、上のDについて D \ge 0とは、任意の P \in Xについて n_P \ge 0と定義される。 D \ge 0を満たす因子を、効果的な因子と呼ぶことがある。

上で定義された層 \cal{F}を因子Dに付随する層という。あとで6,7章でとても役に立つそうだ。