正則ベクトル束の標準接続(2)

正則直線束の例

p39〜40に書かれている「例2.2.16」について。
ファイバー座標の変換関数については詳しく書かれているのだが、ファイバーをどのように定義しているのか明記されてないので混乱してしまった。まず「例2.2.16」の主張そのものがなんなのかしばらくわからなかったが、ようやくわかったような気がするのでメモしはじめたが、やっぱりわからない。何がわからないのかをメモしておく。


 M複素多様体とする。 dim_{\mathbb{C}} M = m としておく。
「例2.2.16」 では、

 D \subset M Mの余次元1 の複素部分多様体とする。このとき  D により決まる、 M上の正則直線束(rank 1 の複素ベクトル束) が存在する。

ということを主張しているようだ。
 Mの余次元1 の複素部分多様体 Dとは何かというと、 M の局所座標近傍  \(U; z_1,\cdots,z_m\) を取ったとき
 \displaystyle D \cap U = \{p \in U \| z_1(p) = 0\}
となるようなものだった。
 U上で第1座標成分をとるような関数  f(p) = z_1(p) は U上の正則関数である。 Mの余次元1 の複素部分多様体 D M の1つの 座標近傍  U を与えると、一つの U上の正則関数  f が定まる。
仮に m=2 であるとすれば、正則関数  f を使って、
 f(z) = 0
という方程式で  \mathbb{C}^2上の「直線」が定義されたことになる。この直線をファイバーとする複素ベクトル束 M上の正則直線束と定義しているような書きぶりである。本当にそうなのだろうか。わからないのは D \cap V = \phiとなるような場合で、テキストではこの場合には f として V上で0にならない正則関数、たとえば  f = 1をとればいいなんて書いてある。この場合 f(z) = 0を満たす点は存在しないから、方程式 f(z) = 0が定義する点集合は空集合であり、 \mathbb{C}と同相にならないからベクトル束にならない。いったいどうやってファイバーを定義しているのだろう。。。


→どうやらファイバーは \mathbb{C}らしい。なかなかむずかしいところなので、もう一度じっくり見直しが必要なようだ。