ローラン展開
しばらく休止していた高橋礼司「複素解析」を再開。
第4章§5「孤立特異点とローラン展開」から。
円環領域 で正則な関数 f を z のベキ で展開することを考える。D は複素平面上の原点を中心とする穴あきディスクの形。
なる をとって、原点を中心とし半径の閉曲線をとする。
ここで第3章でやったコーシーの積分公式を使う。閉曲線の間に挟まれる領域にある z、すなわち を満たすzをとる。第3章の定理をサイクルに適用すると以下が成り立つ。
上のInd は回転数。あまり他の本で見ないが、このテキストではこれが使われている。
曲線はzをぐるっと一周分まわるから。いっぽう曲線はzの周りをまわらないので。したがってこれを上の式に代入することにより、
だから、曲線上の点に対しては より 。よって
であり、この級数は で一様収束する。同様に曲線上の点に対してだからより
これらを上の式に代入すると
最後の等号はがすべてD(fが正則な領域)に含まれていて、 および は D で正則であることによる。
とおき、とおくと
と書ける。これを f の0を中心としたローラン展開という。
fは0で正則でないけれども上のように負のベキまで考えると級数展開できる。
まだよく理解していないのだが、f の 0 のまわりのローラン展開を
と書いたとき、の部分はで正則、の部分はで収束して正則であることが大事なことらしい。