リーマンの写像定理(3)

D を単連結な開集合で、 D \neq \mathbb{C}とする。

補題6(p117)

D からある有界な単連結領域への同型が存在する。

Dに含まれない複素数 a をとり関数 f(z) = z - aを考える。
この関数 f は D で零点を持たないから、前にやった定理3.6(a⇒f)を使うと、 g(z)^2 = f(z)=z-aなるDで正則な関数 g が存在することがわかる。
このgはD上の単葉関数である(すぐにわかる)。
そして  D^{\prime} = g(D), D^{\prime\prime}=-g(D) とおくと D' \cap D^{\prime\prime} = \phiとなる。
そこで、 b \in D^{\prime\prime}を一つとり、D'上の関数 h を
 h(z) = \frac{1}{z-b}
で定義してやる。すると h は D'上で正則で単葉。このhを利用して D 上の関数
 k = h\circ g
を定義すると、k(D)が有界な単連結集合となるそうだ。
有界であることは以下のように確かめる。
gが正則ゆえ開写像定理より、 D^{\prime\prime}=-g(D) も開集合であることが言える。よってr>0 を十分小さくとると、中心b半径rの開円で  D^{\prime\prime}に含まれるものがとれる。このとき  z \in D^{\prime}なら、 D' \cap D^{\prime\prime} = \phiより  |z-b| \ge r が言えるから、
 \displaystyle |h(z)| = \frac{1}{|z-b|} \le \frac{1}{r}
これが任意の D'の元 z について成立するから、h(D')は有界である。



なんだかだんだんむずかしくなるし、いま一つ面白さがよくわからなくなってきたので、複素解析はこのあたりで一休みすることにしようかどうしようか。



fがDから有界単連結領域への同型であったとき、 |f(z)|\le M (for \forall z \in D)z_0をDの一点とすると、
 \displaystyle f_1(z) = \frac{f(z)-f(z_0)}{2M}
で定義されるf_1
 \displaystyle \|f_1(z)\| = \frac{\|f(z)-f(z_0)\|}{2M} \le \frac{M+M}{2M} = 1
より、D から単位円板内の有界領域への同型で、 f_1(z_0) = 0を満たすものとなる。
これを利用し、以下、D から有界単連結領域への同型を考えるときは、Dから単位円板に含まれる有界単連結領域への同型であるとする。(それによって一般性は失わなれない)
そこで補題6を以下のように書き換えて、以下これを利用することにする。


補題6'

D を \mathbb{C}と一致しない単連結領域とする。
D から単位円板 D(0;1)に含まれ0を含むある有界な単連結領域への同型が存在する。