リーマン球の自己同型群

つぎにリーマン球S^2の自己同型群を計算してみる。

 ad-bc\neq 0のとき
 \Phi:z \mapsto \frac{az+b}{cz+d}

という対応はS^2からS^2への写像となる。これを1次分数変換(または略して1次変換)という。S^2上の1次分数変換全体の集合をGとする。
実は
 \displaystyle Aut(S^2) = G
が成り立つという。これは、G がS^2に推移的に作用することと、S^2の元∞を固定する自己同型が Aut(\mathbb{C})に同型なので Gに含まれることから証明される。

ところで2次の正則行列の群GL_2(\mathbb{C})からS^2上の一次変換全体 G = Aut(S^2)への写像
\displaystyle \varphi \begin{eqnarray} \( \begin{array}{cc}a &b\\c&d\end{array}\) \end{eqnarray} = \frac{az+b}{cz+d}
は、GL_2(\mathbb{C})から Aut(S^2)への準同型となる。その核 Ker \varphiを計算すると、 \frac{az+b}{cz+d}=zが任意のzについて成立しなければならないことから b=c=0, a=d でなければならず、
 \displaystyle Ker \varphi = \{ a \(\begin{array}{cc}1 &0\\0&1\end{array}\) \|a\neq 0 \}

準同型定理より
 \displaystyle GL_2(\mathbb{C})/Ker\varphi \simeq Aut(S^2)
となる。この左辺の群は  PGL_2(\mathbb{C})という記号で表されているものだという。ということで、

 \displaystyle Aut(S^2) \simeq PGL_2(\mathbb{C})

である。