正則関数列(2)

Hurwitzの定理

定理5.2(Hurwitz. p102)

連結開集合D上の正則関数列(f_n)_{n\le 1}が Dでf(恒等的には0でないとする)に広義一様収束し、各 f_nは Dに零点をもたないとする。
このとき、fはDに零点を持たない。

偏角の原理の応用。
fがa∈D を零点として持ったとすると、fは恒等的に0でないと仮定しているから、a はDの孤立点となる。(by 2章定理2.6)
このとき内部にaのみを零点として含む十分小さな円周γをとると、偏角の原理よりfの零点の数は
\displaystyle \frac{1}{2\pi i}\int_{\gamma}\frac{f'(z)}{f(z)}dz
となるが、仮定よりD内のコンパクト集合γ上で f_nfに一様収束するから、
\displaystyle \int_{\gamma}\frac{f'(z)}{f(z)}dz = lim_{n\rightarrow\infty}\int_{\gamma}\frac{f_n'(z)}{f_n(z)}dz = 0
最後の等式は各 f_nが Dに零点をもたないことによる。これはfがDで零点を持たないことを示すから矛盾(証明終)。


開集合D上の正則関数列(f_n)_{n\le 1}が 定数でない関数fに広義一様収束するとる。このとき、各f_nが単葉なら fも単葉。

単葉とは単射のことだそうである。正則関数の場合にはこの言葉を使うらしい。
fが単葉でないとすれば  z\neq z'のとき  f(z)=f(z')=aを満たすz,z'\in Dが存在する。
 g(z)=f(z)-aでD上の関数gを定義するとgは2つの零点z,z'を持つ。
しかし g_n(z)=f_n(z)-af_nが単葉だから零点を一つしかもたない。偏角の原理を適用すると 2=1 となってしまい矛盾(証明終)。


うーん偏角の原理ってとっても便利。