複素解析

C(D)に距離を入れる(2)

複素平面上の開集合に対して を満たすコンパクト集合の列が存在する。 具体的には、 とおく。こうするとnが大きくなるにつれ、原点中心半径nの円の中にDが徐々にとりこまれ、内側はDの境界から1/nほどの距離のかたまりがとなって、(2)が成立することがわかる…

C(D),H(D)に距離を入れる

次に7ページにわたり、複素平面上の開集合D上の連続関数の空間と正則関数の空間に距離を定義して、距離空間としての性質をいろいろ調べる。 けっこう長い。DがコンパクトのときはD上で連続関数は有界であるから で距離を定義できるが、Dが開集合のときはうま…

正則関数列(2)

Hurwitzの定理 定理5.2(Hurwitz. p102) 連結開集合D上の正則関数列が Dでf(恒等的には0でないとする)に広義一様収束し、各は Dに零点をもたないとする。 このとき、fはDに零点を持たない。 偏角の原理の応用。 fがa∈D を零点として持ったとすると、fは恒等的…

ルーシェの定理

偏角の原理の応用としての演習問題としてルーシェの定理が載っている。 問10 f,g は閉円板 を含むある開集合で正則。 とする(γは中心a、半径ρの円周)。 円周γ上で ならばにおける f+g の零点の数と f の零点の数は等しい。 これを利用すると、n次方程式はn個…

正則関数列

第5章「等角写像としての正則関数」に入る。 記号で領域D上の正則関数全体の集合を表す。これは上の多元環(ベクトル空間でさらに乗法を持ち、乗法に関して結合法則、加法と乗法の間の分配法則が成り立つ)をなす。 定理5.1(p102) の関数列がDで広義一様収束す…

偏角の原理

留数定理の応用としての練習問題が載っている(p90,問8)。 問8 (i) とする。 aがfのm位の零点のとき、はDで有理型で、aを1位の極として持ち、 aの近傍において正則な関数gが存在して と書けて よって gはaの近傍で正則だからも正則。よって 問8 (ii) とする。…

留数定理(2)

復習 しばらく時間が立っているので忘れていることが多い。3章の内容で必要なものを復習としてメモしておく。 開集合 D 内の閉曲線 がD 内で 0 にホモロジー同値(定義): 開集合 D 内の閉曲線 がD 内でホモロジー同値(定義): がD 内で 0 にホモロジー同値。…

留数定理

f が で正則であるとする。f を a のまわりでローラン展開したものが であったとするとき、の係数を、f の孤立特異点aにおける留数と呼び、 と書く。をD内の回路とする。このときfの上での積分は留数を使って となる。 これを証明するには、f(z)のローラン展…

孤立特異点

点aを除いてaの近傍で正則な関数fに対して、点a を fの孤立特異点という。 孤立特異点には、以下の3種類があるという。 除去可能な特異点 極 真性特異点 f が で正則であるとき、f を a のまわりでローラン展開して と書けるが、n が負のベキの係数が0のとき…

ローラン展開

しばらく休止していた高橋礼司「複素解析」を再開。 第4章§5「孤立特異点とローラン展開」から。 円環領域 で正則な関数 f を z のベキ で展開することを考える。D は複素平面上の原点を中心とする穴あきディスクの形。 なる をとって、原点を中心とし半径の…

複素解析

高橋礼司「複素解析」を読んでいるのだが、なかなか複素積分が定義されず、積分を使わずにいろいろな話題が展開する。もしかしてかなり特殊な構成の本なのかもしれない。