ベクトル場とLie微分

  • ベクトル場

ちょっと先走り、ちらっと「多様体の基礎」(松本)の第5章をつまみ食いしてみる。
証明をはしょり、結果だけ直感的にイメージしながらざっと読んでみた。
以下メモ。

 M を可微分多様体 T_p(M) M p \in Mにおける接空間としたとき、対応
 \Large X: M \ni p \mapsto X_p \in T_p(M) を M 上のベクトル場という。
M の座標近傍 \(U; x_1,\cdots, x_m\) をとったとき、 p \in Uであれば  X_p
 \Large X_p = \sum_{i=1}^{m} \xi_{i} \left(\frac{\partial}{\partial x_i}\right)_p
と一意に書ける。
M を覆うすべての座標近傍において上のように表したときに、各 \xi_i C^{\infty}級であるとき、ベクトル場 X C^{\infty}級であるという。
M の二つのベクトル場  X, Y に対してその和を  X + Y = \{X_p + Y_p\}_{p \in M} で定義する。
f を M 上の実関数としたとき X の f 倍を  f X = \{f(p) X_p\} で定義する。
接空間の元は、p の近傍で定義された C^{\infty}級関数の空間に対する微分演算子であった。
 f \in C^{\infty}(M)に対し、関数 f へのベクトル場 X の作用を
 X f: M \ni p \mapsto X_p(f) \in R で定義する。すると、
 \Large X(a f + b g) = a (X f) + b (X g)
 \Large X(fg) = (X f)g + f(X g)
が成立するので、X は関数空間  C^{\infty}(M)の1階の微分作用素のようである。
M 上の  C^{\infty}級ベクトル場全体の集合を  \cal{X} (M)と書く。
 \cal{X} (M)の元は 1階微分作用素とみなされるので、そのまま積を作ると2階の微分作用素とみなされてしまい、積はベクトル場でなくなってしまうが、
 [X, Y] = XY -YX で交換子積を定義してやると、2階微分の部分がうまくキャンセルされて1階微分作用素となり、
 [X, Y] \in \cal{X} (M) となる。これにより、M 上の  C^{\infty}級ベクトル場全体の集合を  \cal{X} (M)は Lie環となる。

 \Large \varphi: M \rightarrow N
 C^{\infty}微分同相写像、X を M 上のベクトル場としたとき、N 上のベクトル場  \varphi_{*} X を以下で定義する。
 \Large (\varphi_{*}X)_{\varphi(p)} = (d\varphi)_p (X_p)
ただし  p \in M
X, Y が M のベクトル場のとき( X,Y \in \cal{X}(M)のとき)
 \Large \varphi_{*}([X, Y]) = [\varphi_{*}X, \varphi_{*}Y]
が成り立つ。すなわち  \varphi_{*} は交換子積を保存する。

  • 1パラメータ変換群

M 上の曲線 c で ベクトル場 X によって
 \Large \frac{dc}{dt}|_t = X_{c(t)}
とあらわされるものを X の積分曲線という(かなり適当)。

X に関するLie微分とは、上で定義される積分曲線に沿って、t=0 で微分することらしい。

とりあえずここでおしまい。