射影空間(3)

 P^{m}の座標近傍系がどんなものなのか、今ひとつピンとこない。
m=1 の場合を具体的に調べてみよう。

 R^2 - \{0\} の開集合  W_1, W_2 を以下で定義する。
 \Large W_1 = \{ (x_1, x_2) | x_1 \neq 0 \}
 \Large W_2 = \{ (x_1, x_2) | x_2 \neq 0 \}
 W_1, W_2 はそれぞれ  R^2 の直線の補集合。 R^2 の直線は閉であるから、 W_1, W_2 はそれぞれ開集合となる。
 R^2 - \{0\} の点に、その点と原点を結ぶ直線を対応させる写像 \piとすると、 \piは開写像であることから、 U_1 = \pi(W_1), U_2 = \pi(W_2)で定義された  U_1, U_2 はそれぞれ  P^{1} の開集合となり、さらに
 P^{1} = U_1 \cup U_2 となっている。
 U_1, U_2 R^{1} と同相である。なぜならば、まずU_1について考えると、直線 x_2 = 1 U_1の元  l は 1点で交わる。その交点の座標を  (x_1, 1) とすれば  U_1 \ni l \leftrightarrow x_1 \in R^{1} の 1:1 対応がつく。この同相写像 \varphi_1: U_1 \rightarrow R^{1} とし、同様にして  \varphi_2: U_2 \rightarrow R^{1} も定義する。これにより  P^{m}の1次元の座標近傍が定義できた。
初等幾何により、 \(U_1, \varphi_1\) \(U_2, \varphi_2\) の間の座標変換の写像 C^{\infty} 級となることが示せる。座標変換の式は  x_1 x_2 = 1
これで P^{1} C^{\infty}多様体となることがわかった。