Weierstrassのσ関数
§2.8「Weierstrassの関数」に入る。
を満たす整関数(全体で正則な関数)として、Weierstrassの関数が導入される。
局所環
§3.1の最後は局所環。その定義は、
極大イデアルを唯一つ持つ環を、局所環(local ring)という。
これだけだと意味がさっぱりわからないが、リーマン面の方でおなじみだったものを抽象化したものだということがわかる例がある。
それはリーマン面上の点における正則関数の芽の集合である。
の元は点の近傍とその上の正則関数の組 で表される。に和と積を以下で定義する。
に対し、
これによりは環となる。
そして、環は以下のような唯一の極大イデアルを持ち、局所環となる。
を満たす全体の集合をとする。
が極大イデアルであることは、以下のような準同型からわかる:
となる。は体だから が極大イデアルとなる。
唯一性も容易に示せる。
以上で§3.1読了。
楕円関数体とペー関数(2)
を周期とする楕円関数全体の集合をと書き、楕円関数体という。は複素トーラス上の有理関数全体のなす体である。
定理2.10 で以下が証明される:
を周期とする任意の楕円関数は、の有理式が存在して、
と書ける。
これから
関数に関しては、微分方程式
が成立していた。
これを用いると、 は体 の2次拡大体であることがわかる。
多項式は既約であることから、体は、整域
の商体となる。
一方、本書の付録Hによると、既約多項式
で定義される代数曲線の有理関数体は
の商体
に等しい。
(既約多項式 で生成されるのイデアルは素イデアルであり、従って は整域となる。これを代数曲線の座標環という。この座標環の商体を代数曲線の有理関数体という。)
そこで
となる。これは「解析的なもの」と「代数的なもの」が一致するということを示すもので、GAGAの原理と呼ばれるものの、最も簡単な場合の具体例であるとのことである。
この後、楕円関数のに表示の具体例として、(関数の任意回数の微分)、およびの表示(関数の2倍公式) が示されて、§2.5読了。
Weierstrassのζ関数
§2.6「Weierstrassの関数」
Weierstrassの関数は
と定義され、
を満たしていた。
この関数の擬周期性
が示された。
さらに周期平行四辺形の周上でを一周積分することにより、Legendreの関係式
が示された。
以上で§2.6読了。
§2.7「関数による楕円関数の表示」
任意の楕円関数は、関数を用いて以下のように表示できる:
ただし周期平行四辺形上のの極を、それぞれの極での留数をとする。