楕円関数体とペー関数(2)
を周期とする楕円関数全体の集合をと書き、楕円関数体という。は複素トーラス上の有理関数全体のなす体である。
定理2.10 で以下が証明される:
を周期とする任意の楕円関数は、の有理式が存在して、
と書ける。
これから
関数に関しては、微分方程式
が成立していた。
これを用いると、 は体 の2次拡大体であることがわかる。
多項式は既約であることから、体は、整域
の商体となる。
一方、本書の付録Hによると、既約多項式
で定義される代数曲線の有理関数体は
の商体
に等しい。
(既約多項式 で生成されるのイデアルは素イデアルであり、従って は整域となる。これを代数曲線の座標環という。この座標環の商体を代数曲線の有理関数体という。)
そこで
となる。これは「解析的なもの」と「代数的なもの」が一致するということを示すもので、GAGAの原理と呼ばれるものの、最も簡単な場合の具体例であるとのことである。
この後、楕円関数のに表示の具体例として、(関数の任意回数の微分)、およびの表示(関数の2倍公式) が示されて、§2.5読了。