P^1(C)の超平面束の曲率形式と第1Chern形式(2)
のエルミート計量
以下で定義される はのエルミート計量となる。
上では
上
上がのエルミート計量となることは、変換関数 によって
のように変換されるため(より簡単に確かめられる)。
の曲率形式
このエルミート計量 を用いて
1次元複素射影空間 の正則直線束 の曲率形式を計算してみる。
正則直線束の曲率形式は、底となる多様体の局所開近傍の取り方およびファイバーの局所正則枠の取り方に依らず一意に決まることはすでに確認済みであるから、適当な一つの局所正則枠を取って計算すればよい。
そこで 上の局所正則枠 を(昨日のように)取って、 上のエルミート計量
を使って、
を計算すれば の曲率形式が求まる。
以下計算。まず
であるから、
となる。
よって の曲率形式は、
である。
第1Chern形式は、定義より
となる。
第1Chern類と基本類から決まる値
ところで 上の局所枠 は複素数であるが、これを実数 を使って と表したとすると、
となり、
となる。そこで の第1Chern形式の式にこれを代入してみると、
となり、 は実微分2形式で、も別途示せるから、
であって、 の 2次のコホモロジー類を定める。
いっぽう実多様体の三角形分割の議論から多様体Mの基本類というものが定まった。これは多様体の(実)次元がnのとき、nチェインのホモロジー類で、n次元ホモロジー群に属し、という記号で表した*1。
ここで を実2次元多様体とみると、その基本類
が定まる。 は 2次ホモロジー類だから、2次のコホモロジー類 にかませて実数値を得ることができる。その値はに含まれるチェイン上でを積分することで決まる:
テキストではこの積分を
として計算しているが、これは の測度が0 だからこれでいいのかな? それに従うことにする。
と極座標で表すことにすると、
より
また では は 0 以外の全複素数をとるから、の積分範囲は
となる。
ゆえに
となり、
が成立する。