1次元複素射影空間の超平面束の曲率形式と第1Chern形式
正則ベクトル束の曲率形式と第1Chern形式についての具体例として、1次元複素射影空間 の超平面 の定める正則直線束 および のエルミート計量を定義し、曲率形式と第1Chern形式の計算を行ってみる。
1次元複素射影空間
1次元複素射影空間 は以下のように定義される。
両方が同時に0でない2つの複素数の比に相当する集合であり、上で原点を通る直線として表すこともできる。
下で定義される は の開被覆となる。
は上原点を通る直線全体から "軸" を除いたもの、
は上原点を通る直線全体から "軸" を除いたもの、
ということになる。
の超平面束
の非特異因子(余次元1の部分多様体) を
で定義すると任意の0でない複素数 z について だから
となる。これは "軸" に相当することになる。
この 1次元複素射影空間 の非特異因子 の定める正則直線束を
と表し、超平面束と呼ぶ。
となる。上で 、上で 局所座標を取る。
となることから、上では とする。
また の元は と座標表示されるが、このときすなわち 軸に沿っては となる。そこで とすれば、
と表すことができる。
そこでこの を使って
とすると、関数系 は 上正則で至るところ 0 とならず、正則直線束を定める。 に対応する正則直線束を と表すわけだ。
のk個のテンソル積を
という記号で表す。
このとき の変換関数は となる。