定数でない大域的有理型関数の存在

リーマン-ロッホの定理から以下が成立する(リーマン-ロッホの不等式という):

 \displaystyle h^0(\mathcal{O}_X(D)) \ge 1-g+\mathrm{deg}D

これを応用すると、コンパクトリーマン面 X上に定数でない大域的有理型関数が存在することが簡単に示せる。


 \forall P \in Xをとる。 D:=(g+1)Pとおくと因子Dができる。このDに対してリーマン-ロッホの不等式を適用すると、
 \displaystyle h^0(\mathcal{O}_X(D)) \ge 1-g+\mathrm{deg}D = 1-g+(g+1)=2

すなわち複素ベクトル空間 H^0(X,\mathcal{O}_X(D))の次元が2であるが、この空間は点Pを高々(g+1)位の極としてもち、それ以外の点では正則な有理型関数からなる。その次元が2だから H^0(X,\mathcal{O}_X(D))定数関数以外の元を含む。