リーマン-ロッホの定理

続いて§6.2「リーマン-ロッホの定理とその最初の応用」に入る。

 Xを種数gのコンパクトリーマン面とする。すなわち
 \displaystyle g(X) := \rm{dim}_{\mathbb{C}} H^1(X,\cal{O}_X) = g
とする。
 D X上の因子とする。
すでに因子とは何であったか、忘れかけているが、 D
 \displaystyle D = \sum_{P\in X} n_P P, n_P \in \mathbb{Z}
という形で、 n_Pが0でないような P達が離散であるようなものが因子であった。

さらに因子Dに付随する層 \cal{O}_X(D) Xの領域 Uに対し、

 \displaystyle \cal{O}_X(D)(U) := \{f \in \cal{M}_X(U) | \rm{div}(f)+D|_{U} \ge 0\}

で定義されていた。つまり具体的な例でみると
 \displaystyle D = 2P_1 - 3P_2 + P_3
であって、 P_1,P_2 \in U だとしたときには、
 \cal{O}_X(D)(U)とは、 P_1を高々2位の極とし、 P_2を3位以上の零点として持つような U上の有理型関数の全体の集合だ。

因子Dに付随する層 \cal{O}_X(D)に対し、

 \displaystyle h^0(\cal{O}_X(D)) := \rm{dim}_{\mathbb{C}} H^0(X,\cal{O}_X(D))
 \displaystyle h^1(\cal{O}_X(D)) := \rm{dim}_{\mathbb{C}} H^1(X,\cal{O}_X(D))

とする。

リーマン-ロッホの定理

 h^0(\cal{O}_X(D)),h^1(\cal{O}_X(D))はともに有限で、次の等式を満たす:

 \displaystyle h^0(\cal{O}_X(D)) - h^1(\cal{O}_X(D)) = 1 - g + \rm{deg} D

この後しばらくこれを証明するための準備が長く続く。