コンパクトリーマン面の種数の有限性(8)
の全射性の証明。一昨日の続き。
任意にが与えられたとき、上大域的に定義された級(0,1)-微分形式で、大域的に が成立するものを構成するところまで来た。このを利用することにより
を満たす を見出すことを次の目標とする。
は上の正則関数で2乗可積分なものでなければならないので、を含む上の正則関数をまず先に構成し、それをに制限することで2乗可積分関数を得るいう手順で進むことにする。
は上大域的に成立していることから、とくにでも成立し、
である。そこでDolbeaultの補題を使うと、
を満たす上の級関数が存在する。
これを利用して
とおく。すると
ゆえ、は上の正則関数。
また、
ゆえ、は1-cocycleで。
したがって自然に とみなすことができる。
これでの ができた。
残りは。をベースに作る。
上で、
となることから
とおく。すると
が上成立するので、は上正則。したがって上正則かつ2乗可積分。ゆえに
そしての作り方より
よって目的のの存在も示せた。
以上で完。
§6.1読了とする。