コンパクトリーマン面の種数の有限性(6)
シュワルツの補題の証明。
はコンパクトゆえ、有限個のの元を中心とする半径の開円板で覆うことができる(各開円板はに含まれるようにをとることができる)。その有限個のの点を
とする。
このを利用して、
とおく。
の元は、各点でのorderがN以上。すなわち、のまわりの局所座標でをTaylor展開すると
という形に表せることを意味する。
ここで以下のような写像を考える:
するととなっているので、
となり、
が言える。
これではの有限次元線形部分空間であることがわかった。
次にはの閉部分空間であることを確認する。ここでが閉であることを示すには、の点列でに収束するものをとったとき、であることを示せばよい。
ここでいう収束はのノルムに関する収束でを意味している。
の元はすべて正則関数であるから、は上の正則関数であり、さらにはに上広義一様収束している(ノルム収束⇒広義一様収束)。
正則関数列の広義一様収束極限はまた正則関数なので、は上の正則関数である。
各の近傍で
とTaylor展開すると、より、のとき
である。ここでとすれば
となり
という形になるので、。
よって はの閉部分空間となることが示された。