コンパクトリーマン面の種数の有限性(5)

大きな残件整理。まず補題1。

補題1

 \forall \epsilon \gt 0 に対して、 Z^1_{L_2}(\cal{U}_1) は次の(1)(2)の性質を持つ閉部分空間  Lを持つ:

(1)  \forall \beta \in L に対して  \parallel \beta \parallel_{L_{2}(\cal{U}_2)} \le \epsilon \parallel \beta \parallel_{L_{2}(\cal{U}_1)} を満たす。
(2)  \displaystyle dim\(Z^1_{L_2}(\cal{U}_1)/L\) \lt \infty

テキストで「シュワルツの補題」と書かれている命題を利用して証明する。1変数関数論に出てくる同じ名前の補題は、 \mathbb{C}内の開円板上の正則関数fに対して|z|,|f(z)|の関係を示すものであったが、ここで使うのはその L^2ノルム版らしい。

その「シュワルツの補題」として例題にあげられているものは以下の通り:

シュワルツの補題

 U,V \bar{V}\subset Uを満たす \mathbb{C}有界領域とする。このとき
 \forall \epsilon \gt 0 に対して、 L^2(U) は次の(1)(2)の性質を持つ閉部分空間  Lを持つ:

(1)  \forall f \in L に対して  \parallel f \parallel_{L^{2}(V)} \le \epsilon \parallel f \parallel_{L^{2}(U) を満たす。
(2)  \displaystyle dim\(Z^1_{L_2}(\cal{U}_1)/L\) \lt \infty

補題1と比べてよく似た形であることがわかる。ここで U := U_{1i}, V :=  U_{2i}とおけば、補題1が導かれる。