コンパクトリーマン面の種数の有限性(4)
先日のつづき。
利用する補題を整理してしておく。
補題1
に対して、 は次の(1)(2)の性質を持つ閉部分空間 を持つ:
(1) に対して を満たす。
(2)このとき
と直交分解される。
補題2
次の条件を満たすが存在する:
に対し、
(in )
上の補題2により存在が保証されたをとり、とおく。このに対して補題1を適用して決まるを使ってとおく。
このはの有限次元閉部分空間である(これも示すのに準備が必要だがまずは事実として認める)。
そこで準備がひとまず整ったので、以下の命題を証明する:
に対して、あるがあり
が成立する。
(等式は 内の式)
上の命題の証明
は自然にの元とみることができた。
そこでに対し補題2 を適用すると、
があって、
と書ける。
さて補題1から、 だったから、を
と直交分解できる。
これによりというものが新たに作られたが、これも自然にの元とみることができるので、上の方法を繰り返すことにより、
:
と書ける。これを繰り返してまとめると、
となる。これを0からNまで足すことにより
となる。
ここで とすることにより所望の結果が得られる。
すなわち補題2(2)の条件により となり、のΣについてはヒルベルト空間の完備性と補題2(2)の条件によりそれぞれあるに収束するから、
となる。
めんどうなので収束の確認のところの詳細ははしょった。
これで、あとは補題1,2 を証明できればコンパクトリーマンの種数の有限性が示せることになった。