コンパクトリーマン面の種数の有限性

表題の長い長い証明の最後までようやくたどりついた。
たどりついたのはいいが、あまりに長く曲がりくねった道だったので、途中どんな景色だったのか感じるゆとりのないまま終点に着いてしまった。要するに何をやっていたのか少し時間をかけて復習してみようと思う。
目標は、 Xをコンパクトリーマン面とするとき、

 \displaystyle dim_{\mathbb{C}} H^1(X, \cal{O}_X) \lt \infty

を証明すること。


まずコンパクトリーマン面 Xには以下のような4組の開被覆
 \cal{U}_3 \gt \cal{U}_2 \gt \cal{U}_1 \gt \cal{U}_0
であるようなものがあることが示される(不等号は被覆の細分):

 \displaystyle \cal{U}_0 = \(U_{0i}\)_{i=0}^{n_0}
 \displaystyle \cal{U}_1 = \(U_{1i}\)_{i=0}^{n_0}
 \displaystyle \cal{U}_2 = \(U_{2i}\)_{i=0}^{n_0}
 \displaystyle \cal{U}_3 = \(U_{3i}\)_{i=0}^{n_0}

 U_{0i},U_{1i},\cdots達は\mathbb{C}の開円板に同相。
 \displaystyle \bar{U_{3i}} \subset U_{2i}
 \displaystyle \bar{U_{2i}} \subset U_{1i}
 \displaystyle \bar{U_{1i}} \subset U_{0i}

このときXの被覆の細分 \cal{U}_3 \gt \cal{U}_1に関する細分写像から自然に誘導される写像
 \displaystyle \tau_{1}^{3}: H^{1}(\cal{U}_1, \cal{O}_X) \rightarrow H^{1}(\cal{U}_3, \cal{O}_X)
が同型写像であることが示される。
また \cal{U}_3がルレイ被覆であることから
 \displaystyle \tau_3: H^{1}(\cal{U}_3, \cal{O}_X) \tilde{\rightarrow} H^{1}(X, \cal{O}_X)
が同型となる。
これから

 \displaystyle H^{1}(X, \cal{O}_X) \tilde{\rightarrow} Im(\tau_{1}^{3})

となるので、 H^{1}(X, \cal{O}_X)の次元の有限性を示すことは、 Im(\tau_{1}^{3})の次元の有限性を示すことに置き換えられた。


ここまでが第1段。