楕円積分とペー関数、加法公式

§2.3楕円積分\wp関数

読了。

微分\frac{dx}{y}の正則性の証明の計算がやや面倒だった。
代数曲線を各局所座標で表した方程式の、両辺の外微分を取って計算するのが、全域で微分が正則であることを証明するためのコツのようである。

§2.4 \wp関数の加法公式

続けて§2.4「\wp関数の加法公式」に入りこちらも読了。

\wp関数の加法公式は、u_1 + u_2 + u_3 = 0を満たすu_1,u_2,u_3に対して、

 \displaystyle \begin{eqnarray} \| \begin{array}{ccc} \wp(u_1)&\wp'(u_1)&1 \\ \wp(u_2)&\wp'(u_2)&1 \\ \wp(u_3)& \wp'(u_3)&1 \\ \end{array} \| \end{eqnarray} = 0

が成立するというもの。
これを元に面倒な計算をした結果、ある2つの有理式F(X_1,X_2; X_1,X_2), G(X_1,X_2; X_1,X_2)を用いて、

 \displaystyle \wp(u_1+u_2) = F(\wp(u_1),\wp'(u_1); \wp(u_2),\wp'(u_2))
 \displaystyle \wp'(u_1+u_2) = G(\wp(u_1),\wp'(u_1); \wp(u_2),\wp'(u_2))

という形で表すことができる。


複素トーラス\mathbb{C}/\Omegaに同型な非特異3次射影曲線(楕円曲線)C^{*}があって、その同型は\wp関数を使って、

 \displaystyle \begin{eqnarray}  \begin{array}{ccc} \mathbb{C}/\Omega & \longrightarrow^{\sim} & C^{*} \subset \mathbb{P}^2 \\ u & \longrightarrow & [1:\wp(u):\wp'(u)] \\  \end{array}  \end{eqnarray}

と表されていた。
つまり\mathbb{C}/\Omegaの元uをパラメータとして、\wp(u)\wp'(u)の組でもって楕円曲線の点は表される訳だ。
だから、\mathbb{C}/\Omegaの加法が、上の同型によって楕円曲線上の演算に写される。
そこで\wp関数の加法公式というのは、楕円曲線C^{*}上で複素トーラスの群の構造を記述するものであるということがポイントであるようだ。